スプリングバンク1966~1998 54.4% Cask №1966 501 / OB
まず、誤解がないように申し上げておきますが、本来はネックの付け根の部分に『1966』というヴィンテージのシールがあったのですが、シールが剥がれて紛失されているとのことでした。
運良く富山で飲むことができたレアボトルで、某酒屋の店長さんのプラベートストックだったものだそうです。
ハッキリ言って、富山でこのクラスのものが飲めることは、極々稀です。
あと、普段、こんなに高いものを飲んでいるわけではありません。
いわゆる、幻の1966のウエストハイランドはシェリー樽熟成らしく、それとは違うバーボン樽熟成で、ボトリングの年も違いますが、レアなものであることには違いないでしょう。
あと、バーのマスター曰く、この商品のシリーズは、通称ローカルバーレーと言われているらしいですが、OBのスプリングバンクのローカルーバーレーという名入りの商品は別のデザインのラベルでリリースされていたそうです。(※写真を撮るのを忘れましたが、保存してあったラベルを見せてもらいました。)
香り:優しい樽香。OBのカスクストレングスのようなギラギラとした塩気や香りは感じない。大人しい。素直な麦芽感で、トーモアのOBの麦芽感を僅かに焦がしたような(ドライにした)感じ。ポン菓子に近い穏やかな穀物感。ピートも大人しく、最近のOBとは明らかに違ってマイルドで、積極的に前に出てくる感じではない。時間が経つと、より麦芽感と樽香が際立ち華やかになる。
味:口当たりも柔らかく、ボディは重くなく、バランス感がある。アルコール刺激はお穏やか。微かにカレーのスパイス。麦芽感。今までに感じたことのない麦芽の甘み。ピートの香り強くないのに、ピートに由来すると思われる舌に残るザラッとした薬品のような渋みが強く残る。
総評:スプリングバンクだと聞かずに飲んだら、おそらくスプリングバンクだとは、自分は気づかないと思うくらい、現代のスプリングバンクのOBとは何もかもが違っていて、なんとなくハイランドタイプって印象です。モルトの香水っていうのとは、全然別の次元にいます。
何よりも特徴的なのは、麦芽の味と香り。自分が体験した中で、一番近いと思ったのは、前述の通り、トーモアのOBで、それをもう少し焦げたような、ドライにした印象近いのですが、これは、スプリグバンクどころか、今まで体験したモルトウィスキーとは明らかに違います。
正直うまく表現できないのですが、まったりとしたバランス型で、飛び抜けた要素が前に出てくる個性派でないのに、香りや味わい構成している要素一つ一つが、今まで感じたものとは違うのです。そういう意味では、歴史的、資料的に大きな価値があると思います。