タケモトカツヒコ (プロフィール)
【スコア】BAR飲みのため非公開
【ファースト】:青リンゴ(++) べっこう飴 程よい酸味 リンゴの皮の軽い渋味と甘みの融合(+) 酸味の上面発香(+)と後追いするアルコール
【ミドル】:ボディは広がるイメージ ボトムは硬いというよりは、あるライン以下には染みていかない感じ
【フィニッシュ】:返り優先 バニラ 軽く粉ミルク 鼻もしっかり抜ける リンゴの皮 カスタード 一貫して青リンゴ(++) 口腔上部刺激 余韻で程よい渋みが出ている
昨年のボトラーズ スプリングバンク93同様、お正月(元旦到着!)の注目ボトルはやはりSMSさんからのリリースでした。これも営業の方の心意気でしょう。うれしい限りです。
グレントファースはブラック&ホワイトやロイヤルハウスホールドの原酒であるため、1985年の一時休止まで拠出先が安定したことから、黒ケイデンダンピーで1965が有ったほかは、70年代中期蒸溜でも
Glentauchers 21yo 1975/1997 (55.6%, Signatory Vintage, C#8888, 306bts)
Glentauchers 18yo 1976/1995 (63.2%, Glenhaven, Bourbon cask)
Glentauchers 27yo 1976 (43%, D&M, USA)
Glentauchers 28yo 1976/2005 (43%, MacKillop’s Choice, C#7671)
が挙げられる程度で、極めて稀。インディペンデント・ボトリングに近いリリースが多いことも特徴で、一部ブレンデッドの大口顧客(ブローカー)に流れていた形跡(カスクナンバー)が認められます。
シグナトリヴィンテージのカスクナンバーが8888であったため、今回の8883の樽流通に関しても思惑巡るところです。
シグナトリ1975/1997のボトリングから13年が経過し、度数は43.7%まで低下していますが、おそらくこれがプラスに作用したのでしょう。
一貫して「青リンゴ」の酸味と甘味あるフレーバーが、爽やかに喉元を通り過ぎます。
いわゆる赤いリンゴではなく、青リンゴと例えたくなるフレーバー幅の中には「シアン」を想像するものがあり、シアン自体が量によっては有害であることから、あまり好まれない味覚だと感じるのが一般的だと思います。
ところが、本ボトルは34年の熟成を得て、人工的な果実、甘味感覚を超越。
見事にマスカットともいうべき「微炭酸」感覚で、素晴らしい風味へと昇華されています。
カーステン氏のテイスターはあのフェッターケン1975以来。
裏ラベルのテイスティングノートが今回ないのが唯一の残念な点でしたが、決して有名蒸溜所ではないグレントファースで、この完成度。
本年1本目の認定ボトルに相応しい出来。