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トマーチン Tomatin 21yo 1968/1990 (40%, Sestante, Antica Casa Marchesi Spinola, Collection no.1, Btl no.976)

このトマーチンは凄いです。

最初から言えばマイナス点は度数のみ

ただこの度数だからこそ分かりやすく感覚出来たのかもしれません。

長所は、

(私個人的に判断するところの)ヨーロピアンオークかつフィノシェリーで、サマローリのハンドライティングギリーや、ロングロウを思わせ、なおかつ、

・バリバリ濃厚な「香木感」

・青肉メロン

・10年OBを思わせる「花」、なんとも例えようのない「白い花」

・ミルクチョコレート

・生クリーム比率の高い、(カスタード)クリーム

・奥から68ボウモア程度のマンゴー、トロピカルフルーツ

・しかしボディは染み込んでくる、けれども喉の奥でとても熱くなる印象。

しかもその展開が、10度程度に冷やしてゆっくり飲み進めると、最初にミルクチョコレートが来て、次第に香木感が出てくること。


これは同セスタンテのバルメナックやプルトニーとは真逆で、これらはまず香木が来て、そのあと持ち前の香味がありましたが、このトマーチンは全く逆。

あとから香木がくるのです。。。

こういう変化は、まず体感したことがありません。


私的に高評価でもある50度弱の65トマーチンと共通項はありますが、よりトロピカル要素が豊富で、こうした点は他のアンティカカーサシリーズ含めて、後熟フィニッシュなんだろうと思わせる部分でもあり、さらにはリリース本数的にも、2,3樽ヴァッティングなのだろうと思われます。


あえて言えば、素直に2,3樽ヴァッティングで仕上げたサマローリに対して、(少数樽ヴァッティングのあと)後熟フィニッシュさせた、アンティカセスタンテのほうが、より一歩工夫がなされているのかもしれません


やや、開栓直後のほうが香木感が強かったかなと思わせるところがありますが、「その香木要素が、あとからやってくる」という、私としても初めて体感したと思えるこの内容に、背筋が伸びました。


グラスはリーデルグランクリュでは、あまりにショートカットしすぎなために、樹グラス程度がマッチングが良く、7度程度から16度程度まで、長すぎず短すぎず楽しめるグラスが求められ、なかなか難易度が高いです。

空気もそこそこ入ってこないと、香木感が立ちません。

ただいまボトル半分ぐらいまで飲み進めましたが、いまだ底が見えず、丁寧にメモを続けています。

間違いないことは、自身3本の指に入るクオリティのトマーチンだということです。

そして他のアンティカのように、濃厚ドシェリーではなく、フィノっぽいきれいな琥珀色の内容で、トマーチンのハウススタイルが良く出ています。



**トマーチン:

仕込水は「オルタ・ナ・フリス(自由の小川)」から。モナリアス山系のこの小川の水を使用することにより、花や蜂蜜、フレッシュでフルーティーな香りが得られるという

トマーティン蒸留所は、標高315mに建ち、スコットランドのモルト蒸留所の中で最も標高の高い場所にある蒸留所のひとつ。 現在でもスコットランド最大級の蒸留所。

1897年 インヴァネスの投資家グループにより創業 会社名はTomatin Spey ディスティラリーカンパニー。

第1次・2次大戦により大ダメージ 戦前の生産量に戻ったのは1950年代に入ってから。

1950-70年にかけて大拡張 スコットランド最大の蒸留所となる。

1986年 宝酒造が買収 (日本企業によるはじめてのスコットランド蒸留所買収)。

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以下、さらに深掘りしたポイントをまとめ、各項目にエビデンスを挿入します。

1. ボトリング・シリーズの背景

  • Antica Casa Marchesi Spinola Collection No.1 は、イタリアのエルネスト・マイナルディ(Ernesto Mainardi)が1990年に立ち上げたSestante社のプレミアムシリーズ第1弾。6つのシングルモルトを厳選し、標準的な40~46%のボトリングとカスクストレングス版を同時にリリースする先駆的な試みでした  。

2. Tomatin蒸留所の特性

  • 立地・水源:標高315mのモナディリアス山脈麓、Allt-na-Frith(「自由の小川」)の軟水を使用。非常にミネラル分が少なく、繊細かつフルーティーなニューメイクを生み出します  。
  • 発酵・蒸留:ステンレス製ワッシュバック12基で最長168時間発酵し(フルーツ感を最大化)、ポットスチル12基(6洗い、6蒸留)でゆっくり二度蒸留。結果としてソフトでクリーン、かつ長熟に耐えうるスピリッツが得られます  。

3. 熟成カスクの概況

  • 蒸留/瓶詰:1968年蒸留、1990年瓶詰、21年熟成、度数40%  。
  • 樽使いの傾向:Sestante社は通常、リフィルのアメリカンホワイトオーク樽をベースにしつつ、一部でシェリーウッド樽も併用し、オークの優しい作用とフルーティーさを両立させる手法を採用していたことが知られています  。

4. テイスティングノート比較

  • Whiskybase:甘い赤ベリー、蜜蝋、軽い塩味、そしてピート感があり、人工的なストロベリーキャンディ香が際立つ  。
  • 88 Bamboo:柑橘、フローラル、バブルガム、ゴム質のヒント、蜂蜜のあとにクリーミーさが広がる。フィニッシュはやや短く花の香りが支配的  。
  • 当初レビュー:ミルクチョコレートやカスタードクリームの甘味、トロピカルフルーツ、そして後から現れる香木感が複雑に絡み合う展開が特色。

5. 市場での評価・希少性

  • ボトル数:ボトラー表記のNo.976(Whiskylink掲載)やSotheby’s記録のNo.639などが見られ、シリーズ全体で650~1000本前後と推定される希少リリースです  。
  • オークション実勢価格:€900前後での落札例があり、コレクター市場で高い需要を誇ります  。

6. 総合考察

  • 21年熟成ながら40%という度数設定は、オークのタンニン過多を抑えつつ、原酒本来のフルーティーさやSestante流のオーク&シェリー感を享受させる絶妙なバランスです。
  • Tomatinらしいソフト&トロピカルなキャラクターがしっかり残りつつ、Antica Casaシリーズ特有の香木感やオーク由来スパイスが後半からじわりと効いてくる、奥行きある一杯といえます。

――以上が、Tomatin 21yo 1968/1990 “Antica Casa Marchesi Spinola” をめぐる多角的な深掘りです。今後のテイスティングやコレクションの際にお役立てください。