モルトだけではなく美味しい食べ物もみんなで共感して盛り上がりたい。
以前からいわきのサマローリ鰻などがありましたが,せっかくなので食事そのものを目的に集まってもきっと楽しいよね。
そんな機運が高まったことを受けて,2013年,Foodlink(Whiskylink 食事部)を始めます!
第一回は日本橋から「櫻川」さん。
訪問したのは2013年1月13日。
今回の参加者は3名,個室で頂きます。リラックス出来て良いですね。お食事は昼,夜ともにおまかせの1コースのみ。
写真を撮り忘れたのですが,まずは食前酒としてお店の名前を冠する大吟醸「櫻川」。これが美味い。一同,「日本酒はこれを頼もう」と即断。なんというか,丸い。吟醸香,甘み,旨味,アルコール感,いずれも突出しすぎた要素がなく綺麗に調和し,かつ口中でしっかり膨らむ味わい。雑味ゼロ。その後,「巻機」という銘柄も頼んでみましたが,「櫻川」が断然よい。最終的に「巻機」2合,「櫻川」6合頂きました。
添えられている花も非常に鮮やかで美しく,かつ毎回異なる花。徳利や猪口も毎回器が変わり,目にも楽しい。こういう心配りがあると満たされますね。
まずは先付。印象に残ったのは
・カラスミ餅:分厚いカラスミと,表面を油でこんがりやいたコクのある餅の組み合わせがとても美味い!たまらん。
・牛ヒレのマスタード和え(銀紙包),鴨とレバーペースト(金紙包),蒸し鮑
・黒豆とジュレ:甘過ぎないギリギリでしっかり甘く,皮も柔らかくて豆そのものと食感に一体感があってとてもよかった。
・イカとホヤの塩辛:ホヤ独特の香りは控え目で,ホヤが苦手な人でもいけると思う。
・卵:滑らか濃厚。ギッチリつまった生カステラとでもいえばいいのか。
特にカラスミ餅と黒豆が個人的なツボ!打出の小槌をあしらった器に金,銀というのも気が利いています。
カニと豆腐のお椀。開けた瞬間に広がる出汁と柚子の香り。出汁はしっかり旨味は伝わってきつつ,良い意味での淡さもあってしみじみ美味い。器も美しい。
ふぐの薄造り。薄造りといいつつ,かなりの厚み。表面もかるくたたいてあります。プリプリ,コリコリしているだけで味がない,なんてこともあるふぐですが,こちらの場合はプリっとした歯ごたえがありつつ,しっかり噛み切れる食感で,身の淡い甘みを堪能できました。写真に移っていませんが,ちり酢も美味しい。この一皿は白眉。
タケモトさんは「激美味い(しみじみと)」を連呼しておりました。
鮪,アオリイカ,アワビ,鯛,ボタンエビ。
鯛と鮪は特に素晴らしかった。お刺身は寝かせることで出る甘みと,寝かせることで失われる歯ごたえ,舌触りとのバランスが大切だと思うんだけど,今回の鯛は完璧でした。甘みもしっかりしていて,食感はサクサク,プリプリ。これってどれくらい寝かせているんだろう。非常に気になる。
鮪も最高でした。しっかり刺身の角が立ち,とろける食感ながらも心地良い歯ごたえは残っていて・・・厚みが良い食感につながっていますね。脂も軽やかできつくない。香りに爽やかさすら感じる。激美味い。
素朴な鯛の器に盛られたお赤飯。すいません,待ちきれずに一口食べてしまった後なので汚いです。本当はお米の赤,鯛の身の白,桜の花のピンクがきれいなコントラストだったのですが・・・。お米はおそらく古代米の赤米。小豆と鯛の香りに桜の花が加わって,まさに口福。
金目鯛,ふぐの白子,牛ヒレ。白子は滋味溢れる味わい。程よく濃厚。牛ヒレも柔らかで,香ばしい香りにジュワっと肉汁。ああ,肉って美味い,と。キンメはやはり皮目の脂がうまいですね。活性化した脂の美味さはさすがです。この一皿で一番驚いたのは大根おろし(笑)。尋常ではない滑らかさでした。
筍の炊合せ。蓋を開けた瞬間広がる山椒の爽やかで甘い香りが,山椒好きにはたまりません。比較的穏やかな香りで,早掘りの筍と好相性。筍は早掘りということで味わいは淡いですが,それでもしっかりとナッティな香りがします。美味い。季節を先取りですね。
ご飯は鯛,カニ,アワビの炊き込みご飯。あさつきと大葉。これだけでも美味しいですが,ついてくるすだち醤油をかけると味にパンチが効いて楽しいです。雑炊にポン酢をちょっと垂らす感覚。
若干記憶があやしいですが,フルーツとラズベリームース,ココナッツムースにアプリコットソース。フルーツ自体がリキュールでマリネしてあって良い感じでした。イチゴも美味しかった。
食い意地がはっていたために写真に撮り忘れたんですが、フルーツの次に出たわらび餅が、これまでの人生でマイベストわらび餅でした!中までキリっと冷えているのに、でんぷん質のモソモソしたところが一切ない、もっちりトゥるんトゥるんの食感。たまりません。ちゃんと薄茶も美味しい。最後に美味しいデザートが出ると幸せですね。写真を撮らなかったことが悔やまれます。
最後は塩番茶で〆。塩番茶は塩の量が難しいですが、うっすらミネラルを感じる程度の絶妙な加減でした。
櫻川,心の芯から満足できました!美味しくて(自分の好みに合う),器も華やかで美しく,ボリュームもしっかり。値段と味わい,構成のバランスに疑問を覚えるお店も散見される和食の中で,とても誠実なお店です。最後に丁寧にお見送りに来てくれるご主人のお人柄でしょうね。美味いと思ったら「おいしかった、ありがとう」と言葉で伝えたい私としては,最後に言葉を交わせるのも嬉しいポイント。
筍,鱧,鮎,松茸といった季節にあわせて,定期的に訪問したいお店です!