5/25 その6
・ボウモア No.1ウェアハウスにて試飲
続いてボウモアのNo.1ウェアハウスにて見学&試飲会。
No.1ウェアハウスというのは、ボウモアのウェアハウスの中でも最も状態の良い樽が寝かせられている場所であり、エリザベス女王の樽も保管されていると聞いたことがある。この中に入れるというのは随分珍しいことらしい。なんという幸運。
ウェアハウス内にはすでにグラスが用意されている。どちらもシングルカスクで、シェリーカスクとバーボンカスク二種類が用意されていた。
所長が熟成についてのお話をしている時に、アンドゥーさんが耳打ちしてきた。
アンドゥーさん「ねぇねぇ、りゅうたにさん」
りゅうたに「はい、なんすか?」
アンドゥーさん「おれさぁ、夢があるんだよね。夢が。」
りゅうたに「夢…ですか?」
アンドゥーさん「そうそう。ここにある樽からさ、直接飲んでみたいのよ。りゅうたにさんも飲んでみたいっしょ?」
りゅうたに「いや、それは出来るもんなら是非飲んでみたいですが、ここにある酒全部未課税だから客に飲ませたらヤバイと思うんですが…」
アンドゥーさん「ちょっとさ、所長に交渉してみてよ。」
りゅうたに「え、僕がですか?」
アンドゥーさん「だって俺英語できないからさ。俺の夢だって言って熱意が伝わればなんとかなるよ!」
りゅうたに「(無理だと思うけどなぁ…)分かりました。やってみましょう。」
りゅうたに「すいません、ちょっとお願いがあるんですが。」
ボウモア所長「なんだい?」
りゅうたに「あの…彼(アンドゥーさん)が『おれには夢がある』って言ってまして。」
ボウモア所長「夢?どんな夢だい?」
りゅうたに「今、ここにある樽から、直接ウィスキーを飲みたいそうです。」
ボウモア所長「なるほど、ちょっと待ってね。」
りゅうたに「(…え、もしかして飲ませてくれるの?)」
…
…
…
ボウモア所長「お待たせ。この樽から注ぐから、グラス貸して。」
りゅうたに&アンドゥーさん「マジかよ!!!」
というわけで、所長のご好意により、樽から直接飲ませてもらえることになった。
アンドゥーさんの熱意のおかげだ。
この木のハンマーのようなものは、樽の蓋を開けるための道具だ。これでゴルフみたいに樽の蓋を叩いて飛ばす。
蓋を開けたら、ハンマーの下にある巨大な鉄のストローのようなものを樽に入れ、上の部分を指で塞ぎ、持ち上げるとテイスティンググラス一杯分くらいのウィスキーを取り出すことが出来る。喫茶店のストロー付き紅茶とかでよくやるアレと同じ原理だ。
所長は僕が渡したグラスに半分くらいウィスキーを注いだと思ったら、グラスをぐるぐる回してリンスした上で樽の上にぶちまけた。ちゃんとグラスを洗ってから入れてくれるらしい。しかしウィスキーそのものでグラスを洗うとはなんと贅沢な…。
今回飲ませてもらったのは、2000年蒸留のバーボンホグスヘッド熟成だ。
割と最近のボウモアっぽい味で、フルーティーでピーティーでソルティな感じだった。パフュは無し。とにかく感動。
旅行メンバーと色々話しながら飲んでいたら、なんか後ろが騒がしくなったので見てみると、
今度は所長が1994年蒸留のシェリーバットを開けていた。
こちらも美味しかったが、やはりボウモアはバーボン樽の方がいいかも。
シェリーバットからボウモアを注いでもらうストーさん。
すげー嬉しそうだ。
こちらはウェアハウスの一角にある、特別な樽が保管されている場所。
下に置かれている紋章付きの樽は、エリザベス女王の樽だ。
1957と1958の樽がある。もう中身は殆ど残っていないそうだが、何らかの記念の時にボトリングする予定だそうだ。
サントリーの佐治敬三さんの樽。鳥井道夫さんのサインも書かれている。
しかし両人とも他界してしまっているので、この樽は誰のものになるのだろうか。
ボウモア40年を購入した人だけが開けられる棚。中にはボウモア40年が入っており、一杯飲むことができる。記念に購入した自分のボトルを開けなくてもいいように、という配慮だそうだ。
以上でボウモアのマスタークラスは終了。
ウェアハウス内で樽から直接ウィスキーを飲むという、そうそう無いであろう体験をさせてもらってとにかく感動の一言。モルティングも楽しかった。ただ、今年はどうも「運が良かった」らしく、毎年こういう体験が出来るわけではないらしい。
これで今日の予定は終了。お腹も空いたので、パブに行って飲み食いしようということになった。