WML2011以降、貴重なボトルを飲ませていただく機会が多く、本当に感謝しています。
たくさんのウイスキーラヴァーな方々と、お話をするなかで、自分なりに試していることをなんとなく言葉にできるようになってきた気がするので、久々に「シングルモルトマニアックス」を再開してみようかと思います。
今回書かせていただこうと思うのは、自分なりに面白いと思っているテイスティングの方法です。いきなりコアに話し始めると何が何だか混乱しそうですので、まずは概略をまとめようと思います。
特に強調したいのは、平面でも立体でも捉えやすい形状で良いのですが、それらが重なっているイメージを持ちつつ、ボトルに向かってみるというやり方です。
1本丸々ボトル飲みの場合の方が機会が多く試しやすいかなと思います。
【1】私の場合ですとテイスティングノートを書く際、または書かなくても飲むときに、ファースト・ミドル・フィニッシュと時間で区切るように考えていて、味と香りは特段分けていませんが、分けてももちろん構いません。ただ、テイスティングするところの自分が嚥下する「前なのか、後なのか」を分けて考えるようにすると、ボディの概念は捉えやすいと思います。
【2】香りからテイスティングノートをとっていきます。いわゆる連想ゲームです。実物があるわけではないので、その断片を味覚や嗅覚・触覚で拾ったら、実物を言葉にして書いていきます(感覚の代名詞化です)。強さを意識すると面白いと思います。やや軽めなレザー感とか、酸味の強いグレープフルーツなど。。。
【3】口に含んで嚥下するまで(自分にとってイン側)をボディとして捉えます。嚥下後に鼻抜ける、返ってくるといった、アウト側も時にボディの一部と捉えていたくなるボトルもありますが、はっきり分けて感じ取れるのであれば、イン側をボディとしておきます。(この方がより中心部分と周囲の複雑性を感じ取りやすくなります。しかしながら最初はアウト側まで含めての全体の形状として捉えたほうがイメージ化が楽かもしれません)
【4】テイスティングノートを読み返しつつ、類似する起源をもつような要素を線で連結して捉えるようにしながら、再度飲んでみます。例えば、濃いシェリー樽由来の巨峰とか杏、レザー、イチジクのような要素を線で連結して捉えます。一方それとは別に例えばバーボン樽由来といったほうがしっくり来る要素も、先程のシェリー樽とは区別するように線で連結していきます。蜂蜜、バニラなどといったものです。これが最終的にレイヤーの分離を容易にします。
【5】今度はそれらを、勢いの強さを意識しつつキャッチしていきます。立体化する場合、レモンやグレープフルーツの酸味といった揮発性の高そうな要素を↑(上方向)、レザー感など重さのある要素を↓(下方向)方向に配置してイメージしてみます。その勢いの強さが、口から外へ飛び出す方向のイメージであれば仮により→(右側)へスライドするようにイメージし、自分の内部へのパンチとして感じられるのであれば仮に←(左側)へスライドしてイメージ化してみます。
【6】先のボディについて口腔内での広がりを「平面的あるいは立体的」にイメージします、そこへ【4】【5】の要素を統合し、最終的に平面あるいは立体の重なりあいとして捉えてみます。
シングルカスクストレングスの場合、エッジの輪郭は明瞭で、最終形態としては目立つ香りや味覚の強弱を加味すると金平糖のような形
千本を超えるリリースでも、重なりを分離して捉えることは難しく、金平糖形に落ち着くものが多い気がします。
数樽のヴァッティングらしきカスクストレングスだと、複雑な形の重なりあいにも、◎のような包括形にも成り得て、より面白く感じます。
加水だと、各成分の強弱が均一化されて、平べったい形に収束することが多い気がします。
もちろんこれらも全くもって、個々人のイメージであって、正解はありません。自由に形を作っていく工程を楽しむ、特に経験値の高い方の中には、遠からず似たやり方をされている場合が多い気がします。
あくまで、香り・味からステップアップして空間的広がり(テクスチャ)まで捉えることで、より楽しく飲んでいこうという方法論です。
。。。ここから先が「平面と立体の重なりあいとしてイメージしてみた後、どう評価するか」というくだりなのですが、また次回以降まとめていこうと思います。