Whiskylink 写真部 Glenfarclas 21yo 51.5%      for E. Giaccone

今回はいよいよ酒の記事をアップできます。史上最高のGlenfarclas との呼び声も高いこの1本からです。

 

 

Glenfarclas 21yo for E. Giaccone 51.5% ・1970s

Glenfarclas 史上最高の1本との呼び声もあるこのボトル。Giaccone 向けにこの様なハイプルーフが存在していたのを知る人は少ないかも知れない。(43度はこのサイトにも登場しているが)、

ウィスキー関係のサイトには載っていたのだが、実物はさすがに見た事が無かった。流通時期は1970年代でも前半らしく、蒸留時期は1940年代後半から50年代初頭という事になる。

E. Giaccone というと伝説のMacallan の一連の物を思い浮かべられるかも知れないが、このボトルもGiaccone の凄さを思いっきり教えてくれる1本と思われる。

 ボトルの底部が切れたのは失敗といえるが、この凄さは画像から伝わって来ると確信している。 ( 卓上三脚の高さの関係もあって、少々苦労したのは事実 )

 肝心要の味の話で…

画像からも見て取れるであろうが、色はかなり赤みの強いブラウン。

 開栓当初は、シェリーの樽香がきつく、エグい位だった様だが、私が飲んだ時はまことに綺麗で上品で文句の付け様ないシェリー香。クリーミーな感じは殆ど感じられなかったので、クリーミーなシェリーカスクがお好みの方は違和感を感じられるかもしれない。

51.5%というハイプルーフな感じは殆ど無い、それ位風味は豊かと思われる。味わいはノーズからフィニッシュまでほぼ一貫性があると思って良いだろう。

エレメントとしては、先ずは極めて上質なシェリー香。麦感は然程強いわけではないと思うが感じ取れる。、干しブドウ、ラムレーズン、苺、クランベリー、ラズベリーとそのリキュール、黒スグリ、ブラックチェリー、チェリーリキュール…、カカオマス、クローブ、シナモン、黒胡椒も僅かに見てとれる。そして野薔薇を想起させる要素。

ただ、それぞれの要素を単体で挙げるのが難しい程、一体感と融合感があったのも事実。アフターテイストも文句無し!

Acquavite di Cereali 即ち穀物の蒸留酒とラベルにも書いてあっても、モルトウィスキーと判っているのに…、Sherry cask であるのに、全体的な印象として時折、Bourgogne grand cru さしずめ、Ruchotte Chambertin あたり、はたまた、時にはRhone の銘醸Côte Rotie( 殊にCôte Blonde区域産 )の長熟した物を連想させるものに見えた。スコッチモルトの奥義と真の力の一端に触れたという気がする。近年の物とは、スピリッツの仕込みも樽の質も違うと言ってしまえば、お終いなのだが…。

表現方法は色々あろうが、本質的に、強く、又極めて美しい液体の1つである。これは地球がひっくり返っても間違いない。この様な味覚体験を出来た事に素直に感謝しなければならない。

ウィスキーが嘗てワインの代用としての役割を果たしていた時期があった、その事実を強く伺わせる味わいであるとも言える。

余談にはなるが、欧州を中心にフィロキセラが蔓延し、ワイン産業が壊滅的打撃を受けた時代があり、その間隙をぬってウィスキーが市場を伸ばした時期があったのは間違いない。(かの銘醸Montrachet と雖も、荒れ果てて牧草地になってしまうのではと言われた時もあった。Montrachet は禿げた丘という意味なので、特に悲惨に見えたかも知れないが…。)

 ワインの様なソフトリカーからウィスキーの様なハードリカー、カクテル等まで色々飲みこなす事は、一種のクロストレーニングとして重要である意見も付け加えさせて頂きたい。