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ジャパニーズウイスキーの問題

「ジャパニーズウイスキーの問題」は某蒸溜所だけに限った話ではありません。個人的に中性アルコールの混和は特に問題だと思っています。

•法的定義の緩さ
日本の酒税法には「生産場所に関する記述」がなく、
外国産ウイスキーと日本産ウイスキーを混ぜても「ジャパニーズウイスキー」と名乗れる。
中身が100%輸入品であっても、国内で瓶詰めすれば合法となる詭弁的ルールがまかり通っている。

•ブレンド規定でスピリッツ混和が認められる
ブレンデッドウイスキーの規定の中で、焼酎やウォッカ用の中性スピリッツ(モラセスアルコール)を混和可能と定めているのは日本だけの特殊ルール。

•自主基準はあるが、法的拘束力はない
2021年、日本洋酒酒造組合が「ジャパニーズウイスキー表示基準」を策定したものの、あくまで任意ガイドラインに過ぎず、非加盟業者への適用も罰則もない。

•バルクウイスキー(既製原酒)混和の横行
スコットランドやカナダ産の原酒を大量輸入し、国内でブレンド・瓶詰めしただけで「日本製」とするケースが後を絶たない。消費者には“蒸留所製”と誤認されやすい。

•中性アルコール(モラセスアルコール)混和の実態
低価格帯製品の一部(例:アルコール度数37度のウイスキー)では、原材料に「スピリッツ」「ブレンド用アルコール」を明記しつつ、ウイスキーと同列で販売。純粋なウイスキー原酒の比率は1割程度、残り9割が醸造アルコールという例も報告されている。

•消費者の信頼を揺るがす“フェイクジャパニーズ”の氾濫
スーパーやコンビニでは、「国内メーカー」というだけで粗悪なウイスキー風スピリッツが「国産ウイスキー」棚に並ぶ事態。品質とブランド価値への深刻なダメージが懸念される。

•自社原酒比率の開示を進める動き
PB商品が「原酒比率10%以上、スピリッツ90%未満」と明示し話題に。透明性を重視する先行事例として注目されている。

•解決策:法制化による原産地・製造実態の明確化
フランスのAOCやスコッチ・ウイスキー規制のように、発酵・蒸留・熟成・瓶詰めの各工程を法的に定義する原産地表示制度(GI)を導入し、初めて「言葉に中身が伴う」信頼できるジャパニーズウイスキー市場が出来上がる。

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