第5回のSBT運営、大変お疲れ様でした。
またテイスターの皆様、本サンプルについてしっかりとテイスティングしていただき、ありがとうございました。
昨日、WLニコ生のSBT大討論会で先行して正解発表を行いましたし、
ヒントから回答の絞込みをされている方もいらっしゃると思いますが、改めまして、正解はこちら。
OB インチマリン(ロッホローモンド)
Inchmurrin
1966-1999(約33年)
40% 750ml
価格:10000円前後
SBT評価:84.6点 SBT価格:14400円
正解者:シングルモルト見習いさん(第2候補)
【出題者テイスティング】
香り:刈り終えた麦畑のようなかすかな土っぽさ、硬質感のあるざらついた香りから、蜂蜜梅、レモンの皮、ママレードジャム、アプリコット、適度な酸味と苦味、果実味を感じる。徐々に皮付きりんご、植物の青っぽさ(野菜系)、乾燥した麦感が強く感じられるようになってくる。
味:多少クセのあるオイリーさ、オレンジ系の果物の皮や、植物系の苦味のある口当たり、蜂蜜、クッキー、心地よい甘さもある。中間から余韻にかけてピート、鼻抜けはスモーキーさがあり、余韻はカラメルソース、心地よい苦味、徐々に南国系、グレープフルーツの綿も。
総括:度数ゆえアルコールはあまり感じず、フレーバーにも勢いはないものの、しっかりと芯のある香り。
序盤に感じるオイリーさやクセのある青さが、好みを分けると思われるが、バランスが良く様々なフレーバーの重なりがあり、時間をかけてじっくりと楽しめる1本。
また意外とピーティーであり、今ほど露骨でないピート感が底支えのフレーバーのひとつとなっている。鼻に抜けるスモーキーさも心地よい。
インチマリン(ロッホローモンド蒸留所)というと、とにかくインチマリン10年やロッホローモンド12年といった、これまで広く流通していたボトルの評価が著しく低い蒸留所です。
実際万人が美味しいとは言いがたいクセのある出来でもあって、ロッホローモンド蒸留所=珍味・地雷というイメージが定着しています。まぁそんな蒸留所ですから、当然60年代、70年代蒸留ボトルがあっても積極的には飲もうとは思いません。
ところが最近、有名蒸留所の長期熟成ボトルは軒並み高騰を続け、美味いと評判のたったボトルの価格は青天井の様相を呈しています。つい先日発表されたダンカンテイラーのタンタロスシリーズなんてその最たる事例。ちょっと前ならロナックとして1万円前半で売られていたスペックのボトルが、あの有様です。
各インポーターは有名蒸留所の原酒を引っ張るだけでなく、マイナー蒸留所も手広く攻めていく必要が出てきており、キャパドニック、ロッホサイド、グレンロッシー、77年のグレンタレット・・・これまで見向きもされなかった蒸留所が一気に注目される、世はまさにマイナー蒸留所大航海時代に突入しているといえます。
つまり飲まず嫌いしてる場合じゃないってことで、それでは普段なら絶対チョイスしないマイナー蒸留所の60年代、飲んでもらいましょうというのが今回の出題。
個人的な印象として、まず蒸留所のハウススタイルはオイリーさというか、粘性というか、独特のクセとして感じられると思います。そのため好き嫌いが分かれるところと思いますが、60年代蒸留を思わせる麦感、フルーツ感は健在。
40%加水なので少々儚い感じはありますが、逆に飲み疲れませんし、フレーバーの芯はしっかりしているので十分楽しめると思います。皆様のテイスティングを見ますと、各テイスターの平均点は84.7とやや平均的ではありますが、上が92点、下が68点、その傾向ははっきりと出ていますね。
また予想としては約15年前のボトルになりますので、そこにオールド感を感じた方がブレンデットに流れたようでもありますが、そこは個別に総括したいと思います。
この回答を書いている今、私は日本は遥か遠くモスクワ上空、高度33000フィート、パリ→羽田間の道中。たっぷり時間があります。
テイスター10名の個別評価をするなど、いつからお前はそんなにえらくなったんだと言う声も聞こえてきそうですが、
飛行機の中は暇なんで、許してくださいw
特に先日のニコ生で上から目線だったガースーと、説教されたいシングルモルト見習いさんは厳しく行きたいと思います(笑)
皆様のテイスティングは。こちら。
10月16日22時放送 ニコ生SBT討論会はこちらから(ログイン必要)
【あだもさん】
複数回に分けて変化をしっかり捉えるテイスティング、出題者としていつも大変うれしく感じていますし勉強になります。
ボディは厚くないが芯がある味わい、だからフレーバーがぶれにくい。少し甘さと花のような香りを含む、オイリーなところが蜂蜜、そしてフルーティーさと麦、しっかりと特徴を捉えられたテイスティングだと思います。
【ガースー】
花の香り、植物の青さ、そしてフルーツ感。ハイランド系の酒質を感じながら、ローランドも感じる。ロッホローモンド蒸留所の立地を考えると、回答としてはほぼ完璧であることは認めてやろう(笑)。
後は実際このボトルないし同蒸留所のボトルを飲んだかどうかで、引き出しは決まるので、テイスティングとしては残念ながら完璧に近いと思います。
最後の最後で、軽井沢もあるかも・・・なんてコメントで流れなければね。。。。
【ゴブリン】
体調とPC不良の中、テイスティングお疲れ様です。
ピートを強く感じてしまうと、確かに70年代後半や80年代蒸留のギリーっぽく感じる部分はあると思います。ギリーもけっこうぬめぬめしてるところあるし。
特徴も捉えてると思いますが、アルコール度数を強く感じた人がゴブリンさん含めて居るのは面白いですね。
後もうちょっと感想があると、個人的にはうれしいんだけどなー。
【タケモトさん】
ご好評いただきありがとうございます。インチマリンからの倍返し、いかがでしたでしょうか(笑)。
タケモトさんは最近新基軸のテイスティングとして、各フレーバー、要素を個別にしっかり掘り下げる方針をとられているとのことで、確かに今回もかなり深堀され、特徴を捉えていると思います。
後はオイリーさとほのかなピートから、オールドブレンデットに流れてしまったようですが、ヘイグ等はウチにもありますし、ぜひ今度飲み比べてみてください!
【T.Matsukiさん】
第5回SBTの仕切り、大変お疲れ様でした。
回答の提出、諸事情により遅れてしまいすいませんでした。
マツキさんから先行で回答をいただいたとき、「あぁ、やっぱりすげぇ人だ、そして相変わらず惜しいとw。」
そしてヒントを出した後の1発指定、「ちょwww空気嫁www」と、いやもう今回も相変わらず素晴らしいテイスティングでした。
漬物派か、蜂蜜派か、このボトルは序盤のフレーバーの感じ方が分かれていて、その点でも面白かったですが、ここまでイメージを共有できているというも素晴らしいと思います。
【2chの人さん】
個人的にはサンプルDとサンプルEを取り違えたのではないかと思うくらいの回答でした。
すーっとする香りもあるので、そこが度数の強さを感じたところに結びついたのかもしれませんが、興味深いですね。
ただ熟成年数も蒸留年も、2chさんが感じたと思しきアルコール感から引きずられたか・・・、これはモニタ前で正座レベルですね(笑)
【りゅうたにさん】
スペイ好きのりゅうたにさんらしく、中間で感じるナチュラルな内陸系ピートに完全に引っ張られた感がありますが、
確かに言われてみると、昔のアードベックなどにあるクリアで柔らかい酒質、ピートとも感じられ、これはそういう予想もありえるなと。
出題前に軽く飲んでいたのですが、この時はそこまでピートを拾えていなかったので、素直に勉強になるテイスティングになりました。
ただプロフェッショナルとしては説教ですねw
【銀牙さん】
熱と感動を感じるテイスティングコメント、ありがとうございます。
コメントが的確であることはもとより、その伝わってくる熱に、コメントを読んでいてうれしくなってしまいました。
(うれしくなったのでつい、新しいラベルを貼ってしまいました(笑)。)
加水で飲み疲れないですし、何よりおっしゃるようにボトルで持ってじっくり付き合うのも面白いと思います。
【シングルモルト見習いさん】
いやぁ、テイスティングを見て感動しました。このサンプル唯一の正答です。
フレーバーから変形スチルの使用をしっかりと捕らえられており、南ハイランドorローランドも完璧な地域予想ですね。
(で、持ち上げたところでここからは厳しくいきます。)
惜しむらくは、テイスティングの中で、サンプルDなどのハイプルーフ系の他の影響を引きずってしまったんじゃないかなぁという印象があることと、
そこから若い原酒であるというリンクに繋がってしまった感があることです。後、人から邪推するのはやめましょうw
【naoskprsさん】
好印象をいただきありがとうございます。
漬物か、野菜か、議論は尽きないところではありますがw 的確なテイスティングコメントで、
後はこのボトルや類似のところを飲まれたかどうかという経験の問題だと思います。
度数、熟成年数、蒸留年などもほぼ的確なところですね。
というわけで、数ある1960年代蒸留の中でも不遇の扱いを受けるインチマリンでした。
「ごめんよインチマリン」という懺悔の声も聞こえる回答発表、
ドヤ顔のインチマリンさんが見えるようです。
気に入っていただけた人、そうでない人もおりましたが、このボトルはまだWEBでも在庫があるボトルです。
ただ注意事項として、中国業者と思しき詐欺サイトでの販売も確認されていますので、
そのようなサイトからは、絶対に購入しないように注意してください。
皆様、ありがとうございました!