昨年の震災を経ての「変化」に、またひとつ(要素が)加わりました。
戦争証言や、極限状況の体験談にとても興味を持つようになったことです。
以前よりは些細でも実感を持って接せられる気がします。
改めてこれまでの自分は平和ボケしていたなと思うとともに、戦後文学の秀逸作には打ちのめされるレベルで驚嘆し、以前から興味のあった哲学的な詮索というものなどにも実地有用性に疑問が生じた気がします。。。
健全な状態での思考と、極限状態での思考には大きな違いがあるなと。
(まず)個人的なエピソードは置いておいて、終戦記念日直前でもありますので、ご覧頂いた方に何かのきっかけとなればと思い、リンクを貼ってご紹介したいと思います。
以下、聞くに耐えない表現が含まれています。ご了解のうえ読み進めていただくよう、お願い申し上げます。
http://www.nhk.or.jp/shogenarchives/
特筆すべきは、NHKで実際放映された番組に加え、証言した一人ひとりへのインタビューが別枠で(映像として)保管されていることです。中には同じ戦地で戦った米軍兵のものもあります。
実際派兵された張本人のインタビューによって、当時の日本軍の思考、特に南部戦線において補給を無視し自活を求めるなどの杜撰な作戦内容、戦闘する以前に戦地で生きていくこと自体で極限に達していたことが現実味をもって伝わってきます。
国内(内地)においては情報統制によって良いことしか伝わらず、事実を収集し忘れたとも言える大本営が、その虚構報道を真に受けて作戦を立てるという本末転倒な状態に陥り、ミッドウェー海戦以降は時間稼ぎに終始、やられるよりは一矢報いるという思考においての突撃は、片道の燃料で出向した戦艦大和も同様でした。
聞くに堪えない、現地での戦闘、食生活、慰安所、略奪の一部始終が(大人数の張本人たちによって)語られています。
普段の生活では、ある意味現代版の情報統制によって見聞出来ない内容が、本人の証言としてありのまま残されています。
閲覧無料です。
そもそも第二次世界大戦がどうして始まってしまったのか? 日独伊の三国軍事同盟の狙い、終戦間際のソ連侵攻にいたるまでを紹介。白黒フィルムにカラー化を施した見やすいビジュアルで体感できます。
NHKオンデマンド(有料)でも閲覧可能です。
戦争証言アーカイブスを見て、生き残った元日本兵の皆さんの中には何人も、亡くなることよりも生きるほうが骨が折れる事だと述べられており、見捨てられた南部戦線の、飢えに苦しむ様子や、その瞬間瞬間に何を思ったかが詳細に語られています。
そして飢えの極限に至った時。。。(自主規制しておきます。興味のある方はググってみてください。)
数時間で無理なく読める程度の厚みにもかかわらず、哲学書並みに自己を繰り返し内省していて、深い理解を得ようとしたら何度読んだらいいかわからないぐらい。
おそらく小説でこれ以上のインパクトを受けたことはないなと思える、衝撃的な1冊です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E9%96%93%E3%81%AE%E6%A2%9D%E4%BB%B6_(%E6%98%A0%E7%94%BB)
>全6部の総上映時間は9時間31分に及び、製作当時は商業用映画としては最長の長さであり、ギネスブックにも掲載されていた
本編は白黒フィルムです。
戦時下満州の炭鉱において、捕虜への労働を強いたなか、一社員である主人公はあくまで良心を貫こうとする大長編。
多くの名経営者が座右の書としている著作で、「ただひたすら悲惨な極限状況における人間の思考を知る」にとどまらず、本作は創作によるものとはいえ、極限において人間の理性や良心が成立しうるのかを説いた作品といえるでしょう。
。。。といくつか印象に残ったものをご紹介いたしましたが、やはり一番インパクトが残るのは証言アーカイブスです。
あるエピソードについて、多人数の証言が集約されており、立場が変われば見方は変われど、そこに客観性が担保されています。個々人インタビューには編集の余地は少なく、意図的なフィルターにかけられた影響は最小限にとどまっていると思います。
敢えてこじつければ、1本のボトルに多人数のコメントを集約し客観性を得ようとする姿勢は当サイトのコンセプトと同じです。
気が滅入る話ばかりですが、何かのきっかけになれば幸いです。